自家製酵母でつくるベーグルとおやつ
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中国新聞夕刊


先日、中国新聞夕刊のコラム欄「でるた」に
恥ずかしながら寄稿させていただきました。

学生時代は国語が大の苦手で、
今更ながらもっと勉強しとくんだったと悔やみましたが、
そんなことも今となっては後の祭り。笑

なんとか無事掲載されましたので、
皆さまにご報告させていただきます。
ま、これも記念ということで。


 

時間が笑顔を生む
 
 
パン職人の朝は早い。

真夜中の午前2時。
春といえどもまだ肌寒い空気を切りながら工房へと向かう。
静かすぎる工房。
気が引き締まる。
一度深く深呼吸。
そして、いつものように仕込みを始め、
オープンまでただひたすらに生地と向き合う。

仕込み始めてから最初のパンが焼き上がるまで5時間。
全てのパンを焼き上げるまでには12時間かかる。
長い。
何故こんなにも時間がかかるのか?
いや、あえてかけているのだ。

私のパンは自家培養した天然酵母を使っている。
玄米と野菜から起こした酵母を毎日全粒粉で継いでいる。
気まぐれで、一筋縄ではいかぬ自家製の天然酵母。
この酵母とかれこれ10年以上付き合いながらパンを焼いてきた。

自家製の天然酵母を使って焼き上げるパンは、
半分の時間で焼けるドライイーストのパンに比べ非効率ではあるものの、
時間をかけることに補って余りあるほどの深い味わいや食感をもたらす。
短時間で作れるパンでは決して出すことのできない複雑な味わい、
しっとりもっちりした弾力がそれにはあるのだ。

時間をかけずに効率的に生産すること、
安く大量に生産されることが優先される現代。
自家製の天然酵母でパンを焼くことを通じて、
時間をかけることで美味しさという価値がうまれることに気づかされた時、
時間をかけるということが愛おしく大切に感じたのだ。

春夏秋冬、
人間が四季を生きると同じように酵母も自然の中に生きている。
日々、笑ったり泣いたり怒ったりしているのかもしれない。
自分だって嬉しかったり悲しかったり、様々だ。
そんな中で、
時間をかけて寄り添い、育み、継いでいくことが美味しいパンに繋がり、
人々の笑顔になると信じている。

だから、私は今日もいつものようにパンを焼く。
 
オリデタカユキ
(4/19中国新聞夕刊「でるた」掲載)

 


最後まで読んでくださいましてありがとうございました。
この程度の文章力なので、
きっと最初で最後の新聞掲載ですねー。笑

 
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